新型コロナにより、大きく変化したものの一つに通訳が挙げられます。今までは、通訳者は会場や現場へ赴き、十分な音響設備の中、通訳という技術を提供することに専念するだけでした。通訳エージェントは、開催者や音響業者とのやりとり、資料の受け渡しなど一切のマネジメント業務を行い、通訳者が最高のパフォーマンスができるようサポートしていました。
しかし、会議自体がオンライン開催になり、通訳者が自宅からの参加する場合、通訳業務に加え、ZOOMやWEBEXなどの操作や、ネット環境整備を通訳者自らが行うことが必要となりました。覚えるものは限定的であるものの、パソコンは苦手としてオンライン通訳に対応しない通訳者は、今後仕事の幅が減ることになります。
オンライン逐次通訳の場合(同時通訳でない)
話し手と通訳者が順番に発言する逐次通訳の場合、今はフリーランスのオンライン通訳者マッチングサイトがあり、直接、通訳者に依頼することができ、通訳エージェントに依頼するよりコストが安くつきます。
上記にも書きましたが、通訳エージェントの役割は、①その分野に精通した信頼できる通訳者を選ぶ、②通訳業務以外のすべてのマネジメント業務を行う、であります。つまりタレント事務所と同様、コンプライアンスの徹底をしながら、営業から管理・代金回収まで行い、通訳者のクオリティを保証します。
これらの点がクリアになるなら、逐次通訳でオンラインの場合は、直接そのようなマッチングサイトから依頼をするのが良いかも知れません。
しかし、秘密情報を含む場合、ネットだけで完結する依頼方法はためらいます。どこでどのように漏れるかがわからないことだけは留意する必要があります。
私たち通訳エージェントも、通訳者一人だけを派遣するビジネス形態はとっくの昔に破綻しているため、それがオンラインにより加速化したと思ってうます。
オンライン同時通訳の場合
それが、同時通訳の場合、直接依頼では難しい点が多くなります。というのも、同時通訳の場合、2~3人体制で15分ごとに交代して行います。そのため、自宅から通訳者が参加する場合、その通訳者のネット環境のチェックや、15分ごとの交代のタイミングの管理、資料の共有方法、話す方とのブリーフィングの段取りなど、細かい仕事がたくさんあります。何より、一番の仕事は、依頼者と通訳者のストレスを最小限にし、会議を成功させることであります。
実際、マネジメントする弊社もリアルな会議での同時通訳派遣より、このオンライン同時通訳の派遣のほうが、業務内容が多くなっています。
インターネットは便利ですが、うまくいかないとてこずるからです。
活用方法
以上、このコロナ禍において、通訳業界においてもデジタル化が急激に進み、通訳のあり方が変わってきました。
オンラインで行えるため、通訳者側としては、今まで都市圏に住む人しかチャンスがなかったものが、全国どこにいても能力さえあれば通訳業務を受けることができるようになりました。依頼者側としては全国から選りすぐりの通訳者に担当してもらえるようになった、という双方のメリットがあります。
逐次通訳の場合は直接依頼でも構わないかもしれません。ただし秘密情報を扱う場合は、個人には任せきれない部分もあり要注意です。
同時通訳の場合、通訳エージェントの雑多の管理業務をスムーズに行う人がいれば可能かと思います。
オンライン国際会議自体の開催代行も
このオンライン会議では、かじ取りが成功のカギを握り、日本人だけで日本語で行う場合は、テキパキとしきる人がいれば可能ですが、外国人を含む場合、そうもいきません。
コロナ禍の中、オンライン国際会議自体をまだ世の中の人が慣れていないため、同時通訳を入れた会議をどのようにすればうまく進めるかをお客様と共に試行錯誤をしながら、進めてきました。
この経験は非常に貴重で、せっかくなのでもっと皆様のお役に立てたいと思い、オンライン会議自体の開催業務も代行することを始めました。
ネットの世界はすぐに新しくなります。常にアップデートも必要なので、皆様と一緒に勉強したいと思います。わかる範囲のことはお答えしますので、何でも聞いてください。