敦賀港は、北陸地方における重要な国際貿易港として古くから栄えてきました。近年ではインバウンド観光客の増加に伴い、大型クルーズ船を利用して訪れる外国人旅行者も増加傾向にあります。そうした動きを受け、弊社では敦賀港に寄港する大型クルーズ船の外国人乗客向けの通訳業務を、4月から11月にかけて実施しております。今回は、準備段階から当日の様子、そして今後の課題について、実際に担当した通訳スタッフの声を交えながらご紹介します。
目次
1. ご依頼から当日までの準備
今回の取り組みは、外国人モニターの募集や通訳・翻訳案件でお世話になっている旅行代理店のお客様からのご依頼がきっかけでした。実施期間は4月から11月で、クルーズ船の規模に寄っては、10名以上の通訳スタッフを必要とする回もある大規模な案件であるため、準備期間中は通訳スタッフの確保と育成に努めました。
募集を開始したところ、様々な年齢層とバックグラウンドを持つ方から、想定以上に多くのご応募いただきました。年齢や経験にとらわれず、海外の方へ敦賀の魅力を伝えたいという、前向きな気持ちを持った方々に出会えたことは、今回の大きな収穫のひとつです。通訳スタッフが決定した後は、オリエンテーションを開催。業務マニュアルの説明だけでなく、観光パンフレットや周辺情報に関する質問も多く寄せられ、皆さんの熱意と向上心がとても印象的でした。本番を迎えるにあたり、全員が同じゴールを共有し、敦賀を訪れる外国人観光客の皆様に素晴らしい思い出を提供しようという意気込みにあふれていました。
2. 当日の様子
迎えた4月21日、オランダ船籍の大型クルーズ船「ノールダム」が初めて敦賀港に寄港しました。客室数は962室、全長285.24メートルにも及ぶその姿は圧巻で、港に集まった関係者からも感嘆の声が上がりました。この日、アメリカやカナダなどから約1,900人もの外国人観光客が敦賀を訪れ、港周辺は朝から活気に満ちていました。
通訳スタッフはタクシー乗り場やバス乗り場、観光案内ブース、物販ブースなど各担当に分かれ、観光客の皆さんに通訳しました。港には数多くの店舗のテントが立ち並び、地元特産品の販売も充実。縁日のような賑わいの中、観光客たちはお土産を選んだり、通訳スタッフとの交流を楽しんだりと、思い思いの時間を過ごしていました。
天候には恵まれたものの、海風が冷たく体感温度は低め。そのような状況の中でも通訳スタッフたちは、持ち前の笑顔とホスピタリティで乗り越え、道案内や観光情報の提供に加え、アンケート協力の呼びかけなどにも積極的に取り組みました。
観光客の皆さんはシャトルバスやタクシーに乗り、気比神宮や神楽商店街など市内の名所を訪問。気比神宮では、雅楽の演奏鑑賞や、地元高校生による指導のもと書道体験を楽しむなど、日本文化に直接触れる貴重な体験をしたとのことです。また、免税カウンターが新設された神楽商店街では、買い物を満喫していた様子です。
帰り際には、「とても楽しかった!」「また来たい!」と笑顔で感想を述べてくださり、通訳スタッフ一同も大きな達成感を得ることができました。ノールダム号は、敦賀での滞在を終え、午後6時に次の寄港地へと出航しました。
3.今回の課題と今後について
今回の寄港対応は、通訳スタッフ一人ひとりの尽力によって無事に終えることができました。しかし、業務終了後のフィードバックなどから、さらなる改善点も見えてきました。例えば、より分かりやすい英語案内表示の工夫や、英語が母語ではない方の対応方法などについては、今後の課題として取り組んでいきたいと考えています。
何よりも、敦賀の自然、歴史、文化の魅力が少しでも多くの外国人観光客に伝わっていれば、この上ない喜びです。
今年はあと7回、外国船が敦賀港に寄港する予定です。今回得られた経験と学びを活かし、よりよい受け入れ体制を整えるとともに、季節ごとに表情を変える敦賀の魅力を存分に伝えられるよう、通訳スタッフ一同、引き続き努力して参ります!