終わったら終わり、にしていませんか? 通訳後のフィードバックは、次回の品質を左右する重要なコミュニケーションです。伝えるタイミング・内容・文例まで丁寧に解説します。
通訳サービスを利用した後、会社や通訳者へフィードバックを届けている担当者は意外と少ないのが実情です。「特に問題なかったのでそのまま」「改善してほしい点はあるが、どう伝えればいいかわからない」——そうした声をよく耳にします。しかし、適切なフィードバックは次回以降の品質向上に直結します。本記事では、フィードバックをするべき理由から、伝えるタイミング・観点・良い例と悪い例・メールテンプレートまでを、実務の視点から解説します。
なぜフィードバックが重要なのか
通訳会社は、フィードバックを通じて通訳者の強みと課題を把握し、次回のアサインや事前ブリーフィングに活かします。「よかった」「ここを直してほしい」という一言が、通訳者のモチベーション向上や準備方針の調整につながります。
特に継続的に同じ会社・通訳者に依頼する場合、フィードバックは「関係の質」を高める重要なコミュニケーションになります。長期パートナー型通訳において、フィードバックの蓄積が品質安定の鍵になることはこちらの記事でも解説しています。
フィードバックは「クレーム」ではありません。通訳者と依頼側が協力して品質を高めていくための、対等なコミュニケーションです。
フィードバックをするタイミング
最も効果的なフィードバックは、記憶が鮮明なうちに行うことです。理想は当日中〜翌営業日以内です。
- 当日中:気になった点をメモに残しておく(後で整理するための備忘)
- 翌営業日以内:通訳会社の担当者にメール等でフィードバックを送る
- 長期依頼の場合:案件ごとにフィードバックを蓄積し、定期的に共有する
何を伝えるか:フィードバックの観点
フィードバックは「よかった点」と「改善してほしい点」の両面から伝えることが重要です。以下の観点を参考に整理してみてください。
評価しやすいポイント
- 訳出の正確さ・自然さ(意味が正確に伝わっていたか)
- 専門用語の使い方(適切な用語が一貫して使われていたか)
- 話者のペースへの対応(区切りのタイミングが適切だったか)
- 声量・発音・聞き取りやすさ
- 場の雰囲気への配慮(ビジネスの場にふさわしい立ち居振る舞いだったか)
- 不明点の確認・対処(聞き取れなかった際の対応は適切だったか)
改善依頼が多い例
- 特定の専門用語の訳語を統一してほしい
- もう少しゆっくり・区切って訳してほしい
- 訳出に省略が目立った
- 発言者のニュアンスや感情が十分伝わっていないと感じた
どう伝えるか:良い例・悪い例
フィードバックは「具体的に」伝えることが大切です。曖昧な表現では通訳者側が何を改善すべきかわからず、次回に活かせません。
「もう少し上手くやってほしかった」
感情的な表現は避け、事実ベースで伝える
フィードバックは「どの場面で」「何が」「どうだったか」という事実ベースで伝えると、通訳者・会社側も前向きに受け取りやすくなります。人格否定や感情的な表現は避け、「次回こうしてほしい」という形に変換して伝えることがポイントです。
フィードバックメールのテンプレート
以下のテンプレートを参考に、担当者から通訳会社へフィードバックを送ってみましょう。
件名:〇月〇日の通訳についてのフィードバック
〇〇株式会社 △△様
先日はお世話になりました。〇月〇日の商談通訳について、フィードバックをお伝えしたく連絡いたしました。
【よかった点】
・専門用語(〇〇関連)の訳語が正確で、相手方からも理解しやすかったとの声がありました。
・商談の雰囲気に合った落ち着いた対応で、場の進行もスムーズでした。
【改善をお願いしたい点】
・会議後半で〇〇という用語の訳語が複数混在していたため、次回は統一いただけると幸いです。
・発言が長くなった場面で省略が生じたと感じた箇所がありました。必要に応じて区切りをリクエストしてよいか確認したいです。
全体的には大変助かりました。次回もよろしくお願いいたします。
ポジティブなフィードバックも大切に
フィードバックは「改善要望を伝えるもの」と思いがちですが、うまくいった点・評価したい点を具体的に伝えることも非常に重要です。良いフィードバックは通訳者のモチベーション向上につながり、継続的に高いパフォーマンスを発揮してもらいやすくなります。
「このような表現が相手に刺さった」「専門用語の選択が的確だった」という具体的な評価は、通訳者が「次回もこのアプローチを維持しよう」と判断する材料になります。通訳品質を高める取り組み全般については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
まとめ
フィードバックは「翌日以内に・具体的に・両面から」が基本です。本記事のポイントを改めて整理します。
- 当日中にメモを取り、翌営業日以内に通訳会社へ送る
- 「どの場面で・何が・どうだったか」という事実ベースで伝える
- よかった点と改善してほしい点の両方を伝える
- 感情的な表現を避け、「次回こうしてほしい」という形に変換する
- 継続依頼の場合は、フィードバックを蓄積して定期的に共有する
通訳・翻訳のご依頼はK'sインターナショナルへ
ご依頼後のフォローアップも大切にしています。
フィードバックをもとに、継続的に品質を高めていきます。

